新ブログ「べっぷ移住物語」

東北 福島県

震災の傷跡は深く〜二岐温泉 大和館

現在 1 / 1 ページ目

前日に塩原の明賀屋で一泊した後、次の行き先も決まらぬまま、とりあえず同じ栃木県内にあるということで、那須方面へ向かうことにしました。この日、私は寝起きから体調があまりよく無かったので、近場の宿に早めにチェックインしてのんびりしようという計画でした。

JR那須塩原駅や東北道西那須野塩原ICなど、那須は塩原とセットで呼ばれることが多いため、双方隣接しているような印象を受けますが、温泉地としての那須と塩原は結構離れていて、塩原は群馬県側、那須は福島県側の県境に位置します。

特に行き先も決めずに走っていると、気が付けば福島県の郡山市のカントリーサインが見えてきました。国道4号線(奥州街道)で那須町の方から北上してくると、県境には境界線となるような大きい川や峠などなく、気が付いたら福島県という感じでした。

やっぱり「福島」と聞いただけで・・・

しかし、折しもこの時期の郡山市といえば、放射性物質を大量に含んだ餌を食べた牛の肉が出回った問題で、何度もニュースで聞いた地名。栃木県から福島に入った途端、距離的にはたいして変わらないと分かってはいても、『被曝』『セシウム』などの言葉がどうしても脳裏に浮かんでしまいます。

連休のせいもあってか、車の交通量はそこそこありましたが、沿道は人通りもまばらで、人気の無い学校のグラウンドや、民家の軒先に放置された子供用の自転車や遊具を見ると、まだまだ先の見えない厳しい現実に否応なしに引き戻されるのでした。

マニアうけ必須の西部林道は大荒れ、崩落して通行できない場所も

甲子道路(たぶん・・・)

奥州街道をしばらく北上していくと、東北道白川ICの近くに出ました。ツレによると、白河から甲子温泉に向かう途中に二岐温泉に抜ける林道があるとのことで、ツレは以前羽鳥湖の方からその林道を使って二岐温泉に行ったことがあるそうです。今回は甲子高原側からこの西部林道を使って二岐温泉に行ってみることにしました。

大きな地図で見る

知る人ぞ知る名勝・雪割橋から阿武隈渓谷を望む

雪割橋

国道289号線から西部林道に通じている脇道に逸れるとすぐ、「ここから景色を見て下さいね」と言わんばかりに、朱塗りの欄干が印象的な橋が架かっていますが、ここは雪割橋という名称の橋。橋の中程でバイクを止めて周りを眺めて見れば、深くえぐられた渓谷と、遥か遠くに山肌が一部露出し柱状節理が露わになっているのが見えます。

雪割渓谷
雪割渓谷・柱状節理

欄干越しの景色は、一幅の絵画のよう。

農道からは林道以外どこへも抜けられない。しかも案内ゼロ!

それにしても、一台オフロードバイクが通ったきり、私たち以外にはほとんど車の往来もなく、こんなに素敵な景色が見れるのに案外この道知られてないんだな、と思っていたのですが、しばらく走るとその理由が分かりました。

西部林道に向かう農道

この道は農道で、進むにつれ本格的に畦道と化して行き、最終的には行き止まりに。

あれ~?この道から林道に行けるはずなんだけど…

途中何カ所か分岐している場所があったのですが、ほとんど地元の人しか通らないような道で案内の標識など出している訳もなく…

なんとか民家を見つけ、庭先にいた人に林道への行き方を聞くことが出来ました。

マップルによると林道はかなり荒れているとのことだったので、道の具合を尋ねると、ブロックタイヤを履いたツレのオフロードバイクを見て、「まぁ大丈夫なんじゃないの?」とのこと。

”西部林道との分岐より先は大荒れ”

教わった通り進むと、確かに林道にはたどり着くことが出来ました。しかし…

最初のうちはまずまず走り易かった林道だが・・・

最初のうちは林道といっても軽く整地されたまずまず走りやすい道でしたが、しばらくすると徐々に路面の砂利が小石サイズになり、道幅もぎりぎり軽自動車が通れるぐらいに狭まって、最終的には水の枯れた川底でも走っているかの様な、漬物石サイズの岩が転がる大荒れの路面に!

林道、幅狭すぎ!!

写真だと道全体の傾斜が上手く伝わらないんですが、実際はこの石一個一個が階段を乗り越えるぐらいの段差に感じます。当然、階段と違って崩れてくるので、運転しながらバイクに必死にしがみついているような状況。揺れも半端ないです。確実にバイクはオフ車以外は走行不可能。

ツレとタンデムでいろんな所に行きましたが、今度ばかりはツレもギブアップで、途中私は降ろされ、一人徒歩で山道を歩く羽目になってしまったのでした。早目に宿にチェックインするはずだったのに…トホホ


途中、オフロードを走りに来たと思われる白いジムニーとすれ違い、しばらくすると後ろから軽トラが追い越して行きました。さっき道を尋ねた地元の人も、オフ車はバイクもジムニーみたいに楽勝でこの道を走れるんだろうと思ったんだろうけど、場合によっては軽トラにすら劣るという…。少なくとも軽トラには、普通におじさん二人乗ってたしなぁ。

軽トラを呼び止めて乗せてってもらおうかとよっぽど思ったのですが、ヒッチハイクなんかしたことないし…と躊躇しているうちに軽トラは走り去ってしまいました。向こうにしてみりゃ、なんでこんなとこ女一人で歩いてるんだ!ってびっくりだったろうけど。

こんなはずでは(;´д`)トホホ…

しばらく歩くと先でツレが私が来るのを待っていました。さっきの道は特に路面が荒れていてキツかったけど、ここからは何とか二人で行けそうということなので、再び二人バイクに乗ってスタート!

がしかし、10メートルかそこら進んだもののやはりムリとバイクから降ろされ、しばらく一人で歩く→また二人でスタート→やっぱりムリ・・・の繰り返し。私はどちらかと言えば、いつ転倒してもおかしくないバイクに必死にしがみ付いているよりは、しんどくても歩いた方がマシという精神状態だったのですが、ツレにしてみれば私一人置いて行く訳にも行かないし、ちょっとずつでも一緒に走った方が楽だったようです。そうこうして、ようやくどうにかタンデムで走行可能な路面になり、二人で走って行くと…

苦労して来たのに通行止めなんて・・・

さっき私を追い越して行った軽トラが路肩に停まっています。どうやらここから分岐する別の道が補修工事で通行止めになっている様子で、さっきの軽トラはここの現場に向かっていた模様…って!!もしやこの道、二岐温泉に抜ける道では?

現場の作業員の人に尋ねると、やはり二岐温泉へ行く道はこの道だったらしい。

一般道を使っていれば羽鳥湖までは30分ほどで行けたはずなのに、わざわざ苦労して2時間以上かけて山道を来て、結局羽鳥湖周辺まで強制送還されることになってしまったのでした・・・ガーンorz

「羽鳥湖まではもうすぐだよ~」と作業員のおじさんの言葉でしたが、田舎の人のもうすぐとかすぐそこは全くあてにならないのが通例で、結局羽鳥湖周辺まではここから20分くらいかかりましたね。いや、別にいいんですけど…分岐から羽鳥湖までは、割とならされた走りやすい林道でした。反対側の白川方面から来る道もこんな感じなんだと思ったら、まさかあんなに大荒れだったとは!というのがツレの話でした。

羽鳥湖高原レジーナの森

羽鳥湖畔にある別荘地【レジーナの森】は、別荘分譲地などの他にレンタルのコテージやオートキャンプ場もあるので、連休ともなると家族連れや若者のグループなども多く、キャンプサイト近くには誰でも使えるレストランや日帰り温泉施設などもあります。確か夏場はプールとかもあったような?写真撮って来なかったので、画像は羽鳥湖高原 レジーナの森 バケーションヴィレッジより

とりあえずここの周辺には、レジーナの森ぐらいしか食事ができそうな場所は思いつかないので、昼食はここで済ませてから気を取り直して二岐温泉に出発!

羽鳥湖温泉『彩光の湯』

ちなみにここの日帰り温泉、以前一度入ったことがありますが、泉質はph9.8のアルカリ性単純温泉のいわゆる『美人の湯』で、羽鳥湖温泉という温泉地名まで付けています。まぁそれだけ温泉には自信があるようで、さすがにかけ流しとはいかないものの、カルキ臭も気にならないし意外と悪くないですよ。とは言っても、日中は混むし、子供も多くてあんまり落ち着かないんでアレなんですけど、家族やグループ旅行ではけっこう使える施設なんじゃないかと思います。

羽鳥湖高原レジーナの森|温泉・プール&スパ

またまた通行止めの県道37号線

いざ出発したものの、今度は羽鳥湖方面へ向かう県道37号線(白河羽鳥線)には通行止めの看板が立てられていました。(2011年7月現在)震災から半年、東北の山間部ではまだまだこのように不意の通行止めを喰らう可能性があるので要注意。

結局羽鳥湖の東側にある別の道をつかって国道118号線をめざします。

二岐温泉に到着

二岐温泉は数軒の旅館があるだけの小さな温泉地です。特に目立つ看板や大きな建物があるわけではありませんが、通りに路駐している車がたくさん並んでいるので、前を通っただけですぐ分かると思います。

県道から下を見ると、谷底に露天風呂があるようで、木立の隙間から全裸で前を隠して歩いている男性の姿が遠くにちらっと見えました。

通りから見た二岐温泉・たぶん柏屋??

二岐温泉はおそらくどこの宿も、地形的に玄関が最上階にあり、建物は斜面に沿って下に造られているようで、露天風呂は一番下の川沿いにある宿が多いようです。

大和館

大和館の

うーん、どこの宿もよさ気だから迷うなぁ…付近を物色していると、秘湯・大和館のそそる案内が。通りから脇見に入ると、玄関の前でランニングシャツを着たじい様が一人座り、タバコを吸っていました。

中から見た玄関

フロントは昼間とはいえ電気も点けず、他の宿は日帰りのお客さんで賑わっているのに全く人の気配もないところを見ると、もう廃業してしまったのかと思い尋ねると、日帰り入浴はやっているとのこと。

せっかくなのでこちらでお風呂を頂くことにしました。

お風呂は一階ロビー脇の階段を降りた一番下の階

大和館も建物は下に向かって造られていて、お風呂があるのは一番下の谷川沿い。ロビー脇の階段を降りて行くと、意外なほど建物内部は広く、最近改装されたか、または増築されたようで、玄関の印象からは想像できないほど新しくて綺麗でした。かなり広い宴会場まであります。

大和館廊下
大和館客室

しかし連休中ですらこの様子では、どう考えても客室が半分でも埋まる日があるなんて到底考えられません。ましてや団体の宴会なんて…

客室のある階からさらに下に降りると、お風呂のある一番下の階に到着です。

お風呂のある階に到着

客室のある階とは一変し、古くて全体的に薄汚れた印象で、実際掃除もあまりちゃんとされていないような感じがしました。ジュースの自販機がありますが、電気は止められています。

おまけにトイレの水も止まっているようで、通路の脇にあったトイレの個室の扉を開けると、ここには書けないぐらいとんでもないことになっていて、思わず悲鳴を上げて後退りしてしまいました。とてもこのトイレで用を足すのは無理…。

露天風呂に到着

露天風呂に行く出口と、内湯入り口

廊下の突き当たりから表に出ると露天風呂です。どうしても我慢出来なきゃ外でするか、他にお客さんもいないみたいだし…

露天風呂のすぐ脇には男女別の内湯もありましたが、覗いて見た感じこちらもあんまり掃除が行き届いていないような印象。単純に古いというのもあるかとは思いますが。

湯舟は川の手前に二つ、向こうに一つ。

出てすぐにある露天風呂
露天風呂を繋ぐ橋

川向こうの露天風呂

鉄筋剥き出しの橋に、コンクリートを固めて造った露天風呂は、おそらく宿の人の手作りでしょうか。渓流を眺めながら入れる露天風呂は野趣満点。泉質はかけ流しの石膏泉で、熱くもなくぬるくもなく、たいへん良いお風呂でした。

大和館露天風呂

温泉に浸かっていると、一旦止んでいた雨が土砂降りの勢いで再び降り始めました。とりあえず脱いだ衣類等を木陰に避難させます。

気にする人にとっては狂気の沙汰にしか思えないんだろうなぁと思いつつ、ガンガン雨に濡れながら露天風呂を堪能してきました。

私は仕事柄、原発が爆発した直後のかなりヤバいと言われていた時でさえ、雨の日も外を走っていたので、今更そんなこと気にしてる段階では無いので気楽なもんです。

手前の湯舟は、後から来た人がいたので今回は入れませんでした。

大和館の掃除が行き届かない理由があきらかに・・・

フロントのある最上階に戻り、先程のじい様とロビーで世間話をしていてはじめて知ったのですが、他所様の家庭内の話なのでここに詳細は書けませんが、家族だけで経営している大和館さんの身内で一昨年あたりから立て続けに不幸が起き、今は実質はこのじい様とお孫さんだけでこの宿の切り盛りをされているそうなのです。下の客間を新しくした頃には、まだもっと働ける人がいっぱいいて、「さぁ、これから!!」という意気込みを持って臨んでいた時期だったのかもしれません。この宿の広さで二人で運営してるとなると、掃除が行き届かないのも仕方ない・・・

加えて3月の震災・原発事故。こんなに不運が続くことって人生であるんでしょうか?

「風評被害で客足が遠退いて…」とじい様は言ってるけど、ここの宿に限ってはそういう問題じゃないような。

ツレが話を聞いて可哀相に思ったらしく、「今夜はここに泊まってあげようよ」と言い出しました。勿論私も気の毒とは思いつつも、さっきのトイレの惨状を思い出すと進んで同意する気にはあまりなれず・・・

しかしツレの勢いに負け、じい様に泊まれるかどうか尋ねてみることに。じい様はフロントの内線でどこかに確認を取っていましたが、やはり今から準備するのは無理とのこと。

内心ほっとしつつ、今からまた泊まれる宿を探すことになってしまいました。私は付近の別の宿でよかったのですが、何故か那須に戻ることになった経緯は失念。

じい様にお礼を言い、宿を後にします。再び雨は上がっていましたが、まだどこか遠くから雷鳴が聞こえて来ます。連休中、大和館に来た宿泊客ってどれくらいいたのかなぁ・・・

ツレのバイクの後ろに乗り出発。県道の合流付近でふと振り返ると、来た時と同じように、じい様は玄関先に座ってタバコを吸っていました。

二岐温泉 大和館のアクセス

住所:福島県岩瀬郡天栄村湯本下二俣22

Tel:0248-84-2021

大きな地図で見る

PR:

現在 1 / 1 ページ目

-東北, 福島県
-, ,

 
べっぷ移住物語banner

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでなんちゃら街道をフォローしよう!