新ブログ「べっぷ移住物語」

東北 福島県

つげ義春的湯治宿、西山温泉『老沢温泉旅館』

2015/09/05

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早戸温泉つるの湯で立ち寄り湯と夕食を済ませて、今夜の宿の西山温泉老沢温泉旅館を目指します。

山の秋は日が暮れるのが早く、数時間の間に辺りはもう真っ暗になっていました。

つるの湯から真っ暗な夜道を行く

途中道を間違えたりして、大幅に時間をロスしなんとか老沢温泉旅館に到着。真っ暗だったので写真撮って来ませんでしたが、日中の老沢温泉旅館はこんな感じ。

西山温泉老沢温泉旅館の外観

玄関を入ってすぐの居間には、高校生ぐらいの男の子が数人、炬燵に入って、先ほど玄関で箱にイモを詰めていたおばあさんと一緒に食事をしていました。

最初は宿の子なのかな?と思ったのですが、奥の方にも何人か同じ年頃の子たちが居て、見た感じ10人近い多所帯のようなので、自炊部に来た学生のサークルか何かなのでしょうか。

少年たちが私達の来訪に気が付いて、お婆さんに知らせてくれました。

玄関先まで出迎えに来たお婆さんに「あの後結局どこまで行かれましたか?」と尋ねられたので、早戸温泉のつるの湯だと答えると、「まぁ、随分遠くまで!」と目を丸くされていました。

浴衣もタオルもない老沢温泉旅館

通された客間は建物の二階で、十畳ほどある居間と六畳間の寝室の二間続きの部屋です。

素泊まりということでしたが、お茶はかろうじて用意して頂けたものの、部屋には浴衣はおろかタオルや歯ブラシもありません。まぁ、布団と温泉と暖房さえあれば文句は全くないんですが、ここまで何も無いのはやはり自炊メインだからかな?それとも、事前に予約していれば準備して頂けたんでしょうか。

素朴な湯治宿の風情たっぷりな老沢温泉旅館のお風呂

夜道で冷え切った体を温めに、早速お風呂へ。

老沢温泉旅館には浴室は内湯が一つしかないので、女性客が入っている間は浴室の入口に札を出しておくシステムになっています。

老沢温泉旅館には内湯が一つだけ

札を出して扉を開けると、予想に反してそこは浴室に続く長い階段。おお!意外と奥行あるんですね。

お風呂へはこの階段を15メートルほど下る

階段を下りきった先には、結構広めな脱衣所がありました。小さな宿なのでもっと狭いお風呂を想像していたのですが、脱衣所も浴室も10人ぐらいは入れそうなキャパシティがあります。

意外と広い老沢温泉旅館のお風呂

浴室はコンクリートを流しただけの床に、畳一畳ほどの大きさの湯船が三つ並んでいます。

湯船が三つある老沢温泉旅館のお風呂

浴室の奥は温泉神社になっていて、のぼりだか垂れ幕だかが奉納されていました。一般の温泉愛好家の納めた幕の中に、NHKのふだん着の温泉という番組の名前も見えます。

湯船の奥は温泉神社になっている

超アナログなので、湯温調節が非常に難しい老沢温泉旅館のお風呂

源泉は、浴室の隅を流れる溝からそれぞれの浴槽に取り込まれているので、当然どれも泉質は同じなんですが、湯温が違うのかな?と思い確かめてみると、一番手前の湯船の温度は50度以上の高温で、熱くてとても入れそうにありません。

真ん中の湯船はもうちょっとぬるいのかと思いきや、こちらも50度前後の超激熱。

一番奥だけが、45度ぐらいでやや熱めの適温でした。

老沢温泉旅館の源泉は泉温65度と非常に高温な上に、掛け流しで湯船に注がれているので、湯温の調節はそれぞれの湯船の温泉の注ぎ口に設置してある、角材で作ったストッパーの角度を調節することで注入される源泉の量を加減して行うのですが、熱すぎる二つ湯船は、ストッパー自体に大量の湯の花が付着してガビガビに変形しているせいで、高温の源泉がほとんど量を調節されることなく四六時中注入されているために、お湯が熱くなりすぎるのでした。

角材の角度で湯量を調節する

浴室に蒸気が充満し過ぎて息苦しくなってきたので、窓を開けようとしましたが、サッシがこれまた温泉で錆びついてしまったのか、力を入れて押したり引いたりするも、微動だにせず。

ひ〜!お風呂の掃除もさっきのおばあちゃま一人でやってらっしゃるのかしら?それとも何か、外すのにコツでもあるのかな…

湯温が高いせいもあって、しばらく浸かっているうちにもう汗だくです。

奥の適温の方の湯槽の底には、大量の黒っぽい湯の花が堆積していました。対して、熱くて入れなかった手前の湯船には、白い湯の花が大量に湯船の中を舞っています。

三つの湯船は微妙にお湯のタイプが違うような?気のせいかな?

一見差があるように見えない三つの湯船も、よく見るとちょっとタイプが違うんですかね。気のせいかな?どういう理屈なんだろう、この違い。

シャンプーや石鹸は置いてありましたが、シャワーなどの設備はありません。普段はこの激熱のお湯を被りながら、洗髪とか体洗ったりしてるのかな。拷問やで・・・


部屋に帰ってビールを飲みながらテレビを点けると、ちょうど日本シリーズ楽天対巨人戦が佳境を迎えていました。この日楽天が勝てば優勝&マー君30連勝という記念すべき一戦だったんですが、さすがに巨人も必死なのでおいそれとは行かず、この日は楽天が負けてしまいました。

図らずも絶妙なタイミングで東北に来たなぁ。これはまた明日が楽しみです。東北は楽天ができる前までは球団が無かったので、結構巨人ファンは多いらしいですが、今回ばかりは東北復興の象徴としての楽天優勝に、ぜひとも期待したいというのが心情ではなかろうかと思います。

後でもう一度お風呂に入るつもりにしていたのですが、布団に入るとそのまま朝まで眠ってしまいました。夜中に風呂に行く際ツレが一度起こそうとしたらしいのですが、熟睡しきって起きられませんでした。つか、起こされた記憶ないし。

朝と夜では趣の異なる老沢温泉旅館の内湯

翌朝、6時前に目覚めて一人お風呂に入りに行くと、鍵が固まって動かなかったアルミの雨戸は取り外されて、浴室内には日の出前の青白い光が差し込んでいて、神秘的なムードを漂わせています。

朝日の差し込む老沢温泉旅館内湯

それはそうと、どうやって雨戸外したんや?

そして不思議なことに、昨夜は一番熱かったはずの手前の湯船がまるでぬるま湯のような温度になっているではありませんか。真ん中の湯船は40度ぐらいの適温で、奥の湯船は昨日と変わらず45歳ぐらいです。

天候や時間帯によって温度が変わるのだろうかと思ったら、部屋に帰ってツレにその話をすると、

「昨夜一人で入った時に、ストッパーの湯の花綺麗に取ってお湯止めといたんだ」

とツレ。偉い!

風呂上がり、昨夜つるの湯で買ったおにぎりとカレーパンで朝食を済ませてチェックアウトです。

チェックアウトの際に居間を覗くと、昨夜は存在に気が付かなかった息子(娘?)夫妻の姿が見えました。風呂掃除は、この二人がやってるのかな?

つげ義春が作品に描いた『中の湯』

では、西山温泉を発つ前に、もう一か所どこか他所で日帰り入浴していくことにしました。

ところで、柳津町では町内にある温泉宿3ヶ所好きな所に入れる湯めぐり手形を1000円で販売中で、何ヶ所かこの辺りで入って行くつもりならば非常にお得なのですが、今回は老沢温泉旅館の隣の中の湯だけの予定だったので、パスは購入せず。

湯めぐり手形参加の宿の証

柳津温泉 湯めぐり道中

中の湯に到着。

中の湯外観

中の湯には、離れのお風呂と宿の建物内にある内湯があり、日帰りだとそれぞれ別料金。

離れ800円、内湯500円です。

今回は、渋い建物の離れの方に入ることにしました。

渋い中の湯の離れ

離れの方は貸し切りです、と宿の方から聞いて離れの扉を開けると、古びた建物外観に反して建物内部は完全別物と言っていいほど、綺麗に改装されていました。

綺麗に改装されている離れ

浴室は、10人ぐらい入れそうな広々とした内湯と、露天の岩風呂。

中の湯離れの内湯
離れの内湯その2
離れの内湯その3

露天風呂も5人以上は楽々入れる広さです。

五人は入れる露天風呂

えぇっ!こんなに広いのに、両方貸し切りでいいんですか?800円で?

露天風呂の目隠しに植えられた楓が真っ赤に色づいて、まるで一幅の絵画のようです。これで800円とは・・・

ひょっとすると、この時はチェックアウト直後の時間帯だったから、他にお客さんもいないし貸し切りでいいですよ、ってことだったのかな?

もし終日ずっと貸し切りだとしたら、日帰りでは結構待たされる可能性ありますね。もし、中の湯の離れに立ち寄りたい場合は、事前に混雑状況などを聞いてから行ったほうかいいかも知れません。

内湯と露天は源泉が違うと宿の方が仰っていましたが、離れの建物の方には成分表は一枚しか見当たらなかったので、宿の建物の方の内湯と離れは別ってことなのでしょうか。

かき玉スープみたいに大量に白い湯の花が舞うお湯は、老沢温泉旅館とは別の源泉ですが、似たような感じの泉質でした。

白い湯の花が大量に舞う中の湯の源泉

つげ義春が描いたのはどのお風呂?

ところで、この中の湯には昔漫画家のつげ義春が訪れたことがあって、作品にも中の湯のお風呂が描かれていますが、つげ義春の描いたお風呂の絵とこの離れのお風呂はかなり雰囲気が違いますね。どっちかというと、老沢温泉旅館の内湯の方がイメージに近いような。

つげ義春が描いた中の湯のお風呂

外観とは別物のように綺麗な離れの設備を見るに、やっぱりこの絵の頃から大幅に改装されたんでしょうか。

しかし、中の湯に来た当時のつげ義春って、おそらくまだ一部の人にしか知名度のない無名作家だったんじゃないかと思うんですが、今や”あの”つげ義春が泊まった宿ですからね。中の湯だけでなく、西山温泉全体が「つげ義春が作品に描いた」というネームバリューが非常に高い温泉地なので、世の中どんなきっかけでブレイクするかなんて全くわかりません。

ちなみに、つげ義春が来た当時の中の湯の宿の方はこんな感じだったそうです。これも今となっては老沢温泉旅館っぽい感じ。

つげ義春が訪れた当時の中の湯

中の湯の離れのお風呂はそれはもう文句なしに素晴らしい物でしたが、つげ義春的な昔ながらの鄙びた湯治宿の風情を求めるのなら、中の湯よりは断然老沢温泉旅館の方がオススメです。まっとうな旅館としてのサービスを期待するなら中の湯その他、という感じでしょうか。

ちなみに、中の湯の川を渡った対岸にある滝之湯は、朝日旅行社の日本秘湯を守る会会員の宿で、北野武さんがプライベートで訪れたこともある宿なんだそうです。

北野武も訪れた滝之湯

合宿などでの利用が多いのかな?という感じの老沢温泉旅館

老沢温泉旅館にも何枚かサインが飾られていましたが、私が知ってたのはなすびだけでした(笑)自分で描いたのかな?この絵。

あの芸能人は今?

それから、記憶が定かではないんですが、客室の前の廊下に桜庭和志選手だったか吉田秀彦選手だったか(全く違うけど)、とにかく非常に有名な格闘家が子供の頃にこの宿で撮った写真なども貼ってあったので、ひょっとすると西山温泉には近くに有名なスポーツ施設があって、老沢温泉旅館はアスリートの間では安く泊まれる宿として意外と知られてるのかもなぁ、と思ったりしましたが、真相は定かではありません。

ではでは、中の湯を後に、玉梨八町温泉を目指します。今日はどんな旅になるのでしょうか?

・・・つづく

西山温泉 老沢温泉旅館へのアクセス

住所:福島県河沼郡柳津町五畳敷老沢114

Tel:0241-43-2014

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