新ブログ「べっぷ移住物語」

山梨県

全長68kmの本格林道「クリスタルライン」で山梨・増富温泉へ

2016/05/21

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2015年9月、山梨県の石和温泉にある健康ランドに一泊した私たちは、翌朝山間部にある「増富温泉」を目指し出発しました。

雲の立ち込めた笛吹市

空はどんよりと雲が立ち込め、進行方向の山並は山頂を雲が覆っています。今日は濃霧か雨は避けられないでしょう。

クリスタルラインへは牧丘トンネル手前を左折

市街地を抜ける雁坂みちを北東へと進むことおよそ15分、秩父方面へ向かう牧丘トンネルの手前を左折し農道を進みます。

珍しい私のバイク写真

辺りは山梨らしくぶどう棚などの果樹園が広がり、畑の間に建つ民家は、古くからの豪農といった趣の重厚な門構えのお屋敷が多く、ぶどうの栽培ってひょっとして物凄く儲かるのかな?などと考えながら走っていると、通り沿いに「鼓川温泉」の看板が目に止まりました。

看板に記された矢印の方に目を遣ると、頭上のはるか上の高い石垣の上に、大きな和風の建物が建っていました。建物の脇には、露天風呂の目隠しと思われる板塀が張り巡らされているのも見えます。昨夜は石和温泉にわざわざ来たのにも関わらず、温泉のない施設に泊まってしまったので、ここで今回のツーリングで初の温泉に入って行くのもいいかもしれません。

日帰り温泉の鼓川温泉は朝10時オープン

…しかし、建物の前まで行ってみると、駐車場はガランとしていて建物も灯りが消えています。時計を見るとこの時まだ8時前。どう考えても開店前です。今回は目的地の増富温泉まで温泉は我慢。

鼓川温泉

優雅な名前とは正反対、全長61キロの本格的林道「クリスタルライン」

鼓川温泉を後にししばらく進むと、果樹園は姿を消し本格的な山道に入りました。ここから先は通称「クリスタルライン」と呼ばれる全長68.1キロの林道ルートです。

本格的林道クリスタルライン

クリスタルラインという響きから、立派なスカイラインのような観光周遊道路をイメージしがちですが、実際は杣口林道、川上牧丘林道、荒川林道、池の平林道、観音峠大野山林道、本谷釜瀬林道、三沢高須林道、高須林道、といった林道群の総称で、一部ダートもあってけっこう本格的。

バイクツーリング向け地図「ツーリングマップル」には、このクリスタルラインがオススメのルートとして記載されていました。しかし実際に現地に来てみると「クリスタルライン」という表記はほとんど無く、よそ者にはあまり馴染みのないそれぞれの林道の名前や、地元の人しか知らないような地名での案内しか出ていないのが非常に心細い気持ちにさせられます。

今走っているのは牧丘町と焼山峠を結ぶ焼山林道。ちなみに、クリスタルラインを走っていると、頻繁に「~峠○km」という看板が立っていますが、クリスタルラインにおいての「~峠」は、高速道路で言うところのジャンクションに当たる分岐点のような物です。

焼山峠

焼山峠にはトイレと大きな駐車場があって、意外にもたくさん車が停まっていました。どうやら他の方はここに車を停めて、徒歩でどこかに行かれるようです。

道は焼山峠の駐車場から二手に分岐しており、大きな地図と案内標識が立っていましたが、こんな感じで新参者には全く知らない地名ばかりなので、地図上での自分の位置を把握するのにかなり時間がかかりました。

増富温泉の方に向かうには、左の荒川林道を進めばいいようです。

荒川林道に逸れると、鬱蒼と木々に覆われた沿道の視界が開け、湿原のような場所に出ました。

案内標識にあった「乙女高原」というのは、ここのことでしょうか。焼山峠の駐車場にあった車の持ち主は、乙女高原にハイキングに来た人たちなのかもしれません。

増富温泉へは木賊峠を目印に

…と言ってる間に再び分岐。ちなみに、増富温泉のある辺りは地元の人には増富とは呼ばれていないので、温泉街のすぐそばまで増富温泉の名前はどこにも出てきません。通常観光客が増富温泉に車で行くには、中央自動車道須玉インターか韮崎インターから「増冨ラジウムライン」を使うのが一般的で、林道を通ってくるような酔狂な人はそもそもほとんどいないのでしょう。

増富温泉へは木賊峠を目印に

増富温泉は木賊峠から分岐する大野山林道の先にあるので、どの方面から来てもこの「木賊峠」を目印にすれば間違いありません。というわけで、木賊峠に向かって分岐を右へ。

上ったと思えば下り、下ったと思ったら上り、を繰り返す非常に効率の悪いルートをひたすら進みます。写真撮って来れませんでしたが、縮み上がるような断崖絶壁からは、すぐそこに瑞牆山(みずがきやま)のむき出しの岩肌がそそり立っていました。林道を通った人にしか感じることの出来ない、生々しい自然。アスファルトで整備されてはいますが、人間が立ち入れるギリギリの世界にいる、そんな感じがして時折鳥肌が立ちます。

しかし、これだけあちこちに目印として書かれている木賊峠には大きな看板などは特に無く、気がついたら通過していました。どうやら、クリスタルラインでは分岐があればそこが峠に決まってんだろ、という考え方のようです。

遊歩道の整備された増富温泉近くの渓谷

木賊峠を過ぎどんどん谷底に下って行くと、ようやくこの辺りから「増富温泉こっち→」の案内が現れました。さらに進むと、荒々しい林道は一転、整備され広く車幅のとられた優雅なワインディングに変わっていました。

増富温泉の裏の渓谷にはハイキングコースが整備されている

さすが関東屈指の温泉地の周りは違います。道の隣を流れる渓流には、巨大な岩や奇岩がたくさんあって、それらを巡るハイキングコースも整備されているようです。ぜひ散策したかったのですが、昨日健康ランド泊まりで全く眠れなかったので、あまりにも眠すぎて今回は横目で眺めるだけで通過してしまいました。

前方に増富温泉の温泉街が見えてきた!

前方に大きな建物が見えてきました。ようやく増富温泉に到着です。

大型ホテルが3軒と民宿だけの増富温泉にはなぜか食堂がたくさん

温泉街は林道を抜けてすぐの場所に津金楼、金泉閣、不老閣の3軒の大型ホテルがある他は、全て民宿クラスのこじんまりとした宿で、100メートルほどの温泉街に宿は10軒も無かったように思います。民家などはほとんど無く、その割には食料品店や食堂が何軒もあるのは、古くからの湯治場の名残でしょう。

温泉街の中ほどには、日帰り温泉「増富の湯」があり、すでに駐車場にはたくさんの車が停まっていました。

公共の駐車場にバイクを停めて、早速本日の宿探しですが、今回わたくし見ての通り寝袋などのキャンプの準備をして参りました。というのも、増富温泉には近くにキャンプ場が何ヶ所かあるので、最悪宿が見つからなければそちらを利用しようと考えていたからです。残念ながらキャンプ場には温泉は無く、その代わりに増富の湯から送迎があるそうなのですが、まぁできれば温泉付きの宿が取れればそれにこしたことはありません。

温泉街の民宿の多くは廃業していた

しかし、温泉街に何軒かある民宿の多くは宿の方は廃業されており、現在は食堂や土産物屋だけの営業になっていました。

その中で本日受け入れ可能な民宿がこちら、ニューあづま。一泊二食付きで一人8000円と若干足元を見られているような気もしましたが、連休中だしこんなもんかと今夜の宿はこちらに決めました。ただし、この時朝10時、チェックインにはまだ早いので、荷物だけ預けて日帰り温泉「増富の湯」で時間を潰すことに。

増富温泉唯一の観光客向け施設「増富の湯」

増富の湯の駐車場には、朝一に来た時よりもさらにたくさんの車が停まっていました。料金は一般820円。

増富温泉唯一の日帰り温泉施設「増富の湯」

お風呂の写真はありませんが、増富の湯には「やませみの湯」と「おこじょの湯」の2つのお風呂があり、この日は女湯がおこじょの湯でした。おこじょの湯の方には内湯にオシャレな屋根が付いていたりする他は、やませみの湯とそれほど大きな違いは無いようでした。

泉質は塩化物・炭酸水素塩泉。湯船は25度・30度・35度・37度の4種類の湯温に分かれていて、一番湯温の低い源泉風呂が露天風呂になっています。広々としたきれいな施設ですが、この日は午前中からほぼ満員の大盛況。休日午後ともなれば落ち着いて温泉を楽しむ雰囲気ではなさそうです。

ふやけるまで入っていたい絶妙な湯加減は病みつき!

さらに、増富温泉はそもそも大きな湯船にジャンジャンかけ流しができるような湯量豊富な温泉地ではないので、浴室に入った瞬間まず鼻につくカルキ臭。おそらく循環もしてるでしょう。とはいえ、増富温泉は遊興地として拓かれた温泉地ではないため、観光客が楽しめる施設が一切なく、その点で言えば増富の湯は非常に貴重な存在です。近隣のキャンプ場に来たついでに、子供連れで、登山の帰りに汗を流しに、という感じの使い方ならば非常にいい日帰り温泉施設だと思います。

循環しているとはいっても、濃厚な茶色いにごり湯はなかなかの物で、じんわりと体の芯に染み渡るようなぬるいお湯は病み付きになるような感覚です。辺鄙な場所にある増富温泉に古くから足繁く通う人が絶えなかったというのも頷けます。

ぬるいお湯でぼ~っとしてたら2時間なんてあっという間。一日中ふやけるまで浸かっていたい気分でしたが、ツレが暇してるだろうしお昼ごはんも食べないといけないので、そろそろ上がることにしました。

メニュー豊富でなかなか美味しい「花豆茶屋」

増富の湯には大浴場の他に、広間の休憩室(無料)と食堂があります。休憩室に行くと案の定ツレは先に上がっていて、待ちくたびれて寝ていました。

食堂は休憩室のすぐ隣。小さな店ですがメニューは豊富です。今回、私は山梨名物のほうとうと…

花豆茶屋のほうとう

ツレは麦とろ定食を注文しました。麦とろ定食についてきたこちらは、食堂の「花豆食堂」という名前の由来になった花豆。

煮豆苦手な人でもこれは食べられると思う

私は煮豆というと、パック詰めの金時豆みたいなベチャッとしてひたすら甘い、というような物しか食べたことが無くてちょっと苦手だったのですが、この花豆は歯ごたえがあってホクホクした茹で栗のような食感です。甘さも控えめだし、皮の食感がちゃんと残ってるのもいいですね。煮物なんて年寄り臭いと普段は店で出てもほとんど残してしまうツレですが、この花豆はいたくお気に召したようでした。

びっくり冷たいニューあづまの温泉

食後にもうひとっ風呂浴びて、今夜の宿のニューあづまに引き返します。

ニューあづまフロント

ニューあづまは建物に意外と奥行きがあって、通された部屋は店構えからは想像できないぐらい広くて新しくてビックリしてしまいました。確かにこれなら8000円は適正かもしれません。

びっくりするほど立派なニューあづまの客室

残念ながら窓からの景色はありません。というか、さっき行った増富の湯の駐車場のすぐ真下の部屋なので、カーテンを開けていると通行人がみんな部屋を覗いて行きます。

部屋は禁煙。ツレがタバコを吸うので、部屋にいてもイマイチ落ち着かずお風呂に入りに行くことにしました。その前に、今夜の酒を買い出し。ニューあづまの数軒隣は何と酒屋さんです。山中の温泉地だと商店が近隣になくて困ることがよくありますが、増富温泉はその点非常に便利です。

武田信玄が金山発掘の際に発見した増富温泉

ちなみに、「ニューあづま」のニューはNewではなく「丹生(にゅう)」のニューです。

ニューあづまの”ニュー”はNewじゃなくて「丹生」

手ぬぐいに書いてあるから間違いないです。ツレがニューあづまの前の川沿いに「丹生川」と書かれた看板が立っていたと言っていたのですが、今調べてみるとこの川の名前は「本谷川」で、丹生川という名前の川がこの辺りを流れている情報は全く出てこないんですけど、川上の津金楼にも「丹生の湯」という源泉があるようなので、どっかで本谷川に丹生川が合流しているんだと思います。多分。

温泉街を流れる本谷川

ちなみに、丹生とは金の精製に使われる水銀の鉱脈がある場所に付けられていた地名なんだそうです。増富温泉は武田信玄が金山を探している際に見つけた温泉と言われていて、周辺には戦国時代の鉱山跡がたくさん残っています。川をさらうと砂金が採れるような沢もあるそうです。

川沿いには、大きな岩の上に首のない地蔵様。

送り狼って何よ??

夕暮れ時に見たらちびりそうですが、その傍らには「ますとみ民話ラリー」と書かれた看板が立っており、これは「送り狼」という名称のようですが、民話に関する詳しい説明は見当たりませんでした。

こえーよ!!

「何かの間違い?」と思ってしまうほど冷たいニューあづまのお風呂

酒を調達し、部屋に帰ってお風呂へ。

ニューあづまの浴室は男女別の内湯がそれぞれ一つずつで、この日は男湯のほうが新しい浴室、女湯は少し古びた木とタイル張りのお風呂でした。

増富温泉のお湯はラジウムが含まれていることから、成分が飛んでしまわないように非加熱で提供されます。右側の茶色っぽいお湯が溜まっている湯船が源泉風呂で、左は真水を加温した湯船。増富温泉は冷たい温泉に浸かって寒くていられなくなったら沸かし湯の方に入って温まる、という普通の温泉と逆の入浴スタイルです。源泉風呂の片隅からは、ちょろちょろと滴るような量の温泉が湯船に注がれています。

しかし、早速入ってみようと源泉の方に足を入れると、これが完全に真水。サウナとかに併設されてる水風呂ぐらいの温度で、先ほどの増富の湯のぬるま湯ぐらいの温度を想定しているとちょっと驚いてしまうような冷たさです。

こらたまらん、と先に沸かし湯の方に入ろうとすると、こっちは激熱で48度ぐらいはありそう。丁度いい湯加減というのがニューあづまのお風呂には無く、しかたなく源泉風呂の方に入ってジワジワ体を屈めて行くと、どうにか肩まで入ることが出来ました。うう、温泉に来て何でこんな目に会わにゃならん…

しかしプールなどでもそうですが、気合入れて肩まで浸かってしまえば案外大丈夫だったりするのと同じで、ニューあづまのお風呂も入ってしまえば意外と入っていられるもんです。5分ほど浸かって沸かし湯の方に入ると、血管が一気に開いて全身が痺れるよう。子供の頃に、しもやけの治療でお湯と水が入った桶に交互に足を浸けたような感じで、、気が付けば体はぽっかぽか。

ニューあづまのお風呂に入ると、増富温泉の適正な湯船の大きさというのはおそらくこれぐらいなんだな、という感じがしました。しかしいやはや、これはツウ好みというか何というか…

ちょうど私と入れ替わりで、5歳ぐらいの女の子を連れたお母さんが女湯に入って行きました。内心、「あんな小さな子が耐えられるのか?」と心配していたのですが、案の定程なくして「冷たい-!」「今度は熱い-!」と泣き叫ぶ子供の声が中から聞こえて来ました。

お母さんも、まさか温泉に来て凍えるような思いをするとは思っても見なかったでしょう。増富温泉はニューあづまに限らず、重い病気の治療のため薬だと思って辛抱して入るか、そうでなければ色んな温泉に入りまくった人でなければ受け入れがたい泉質だと思います。レジャー感覚で増富温泉訪れる際は、誰にでも入りやすい増富の湯までにしといたほうが無難です。


夕飯。とっても豪華。ここでもまぐろのぶつ切りが出てきました。

ニューあづま夕飯

夕飯の時に、宿のお兄さんに「お風呂は冬場はどうしているんですか?」と尋ねると、ニューあづまは源泉から宿が離れているので、他の宿に比べてことさらに湯温が下がってしまうんだそうで、近々源泉を加温するシステムを導入する計画は立てているとのことでした。ちなみに、林道の出口付近の津金楼や金泉閣、不老閣はもう少し湯温が高いとのこと。

この記事を書いている頃には、ニューあづまのお風呂には加温装置が付けられているかもしれません。

そんな感じで翌朝を迎えました。あまりにもお湯が冷たくてちょっとびっくりしてしまいましたが、増富温泉のお湯の虜になってしまった私たちは、本日も増富温泉でもう一泊して行くことにしました。

本日のお宿は、林道出てすぐの場所にある「金泉閣」です。とりあえず荷物を金泉閣のフロントに預けて、今日は朝から林道に走りに行きます。

金泉閣

・・・つづく。

ニューあづまへのアクセス

住所:山梨県北巨摩郡須玉町比志6476

Tel:0551-45-0611

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