新ブログ「べっぷ移住物語」

中部 長野県

絶景露天「馬曲(まぐせ)温泉」から北斎と栗の町小布施へ

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老舗和菓子店「竹風堂」

公共駐車場がどこにあるのか分からなかったので、後で必ず買い物をすると決めて国道沿いの竹風堂という和菓子屋の駐車場に車を停めました。駐車料金は竹風堂で買い物をすれば2時間まで無料。小布施では、周辺の店が観光客に買い物をしてもらう代わりに、公共駐車場の経営を代行しているようです。

竹風堂「どら焼山」

昼食が蕎麦だけだったので、すでに少しお腹が空きつつあった私は、車から降りるやさっそく栗スイーツを物色し始めました。竹風堂のガラスケースには名物の栗を使ったどら焼きと、どら焼きと言ったら!のあのキャラクターの提灯がずらり。

しかしどっちにしろ竹風堂では必ず買い物をするので、ここは一旦先へと進むことにして竹風堂の脇の道を進むと、古びた町並みに異質な存在感を放つ、巨大な金属製のカブトムシの像が!

小諸出身の彫刻家、中島大道の作品

作者はステンレスを使った彫刻で知られる「中嶋大道」という人で、この作品は鋳物ではなくステンレス板を溶接や研磨して作られています。よく見ると、角の先に小さなカブトムシがしがみついていますが、お父さんが子供を高い高いしている様子なのか、はたまた体格の違う虫同士の壮絶バトルシーンを描いたのか。ちなみに作者の中嶋さんは、安曇野のご出身なんだそうです。

北斎のパトロンだった小布施の文化人「高井鴻山」

更に進むと奥は広場のようになっていて、国道沿いにも店舗を構える小布施堂や風味堂といった栗菓子専門店の和風モダンな店が建ち並んでいます。

風味堂
小布施堂

その中で目を引くのが現代的な洋風のこちらの建物。

北斎館

ここは北斎館という葛飾北斎の作品を集めた美術館です。

しかし、なぜ小布施で北斎なのか。それは小布施出身で北斎の門下だった高井鴻山(たかい こうざん)という人物に関わりがあります。鴻山は幅広い分野の学問を修める知識人で、書画や和歌のみならず儒学や朱子学、蘭学などにも造詣の深い人物でしたが、その正体は何と小布施堂や小布施の酒蔵の一つ、桝一市村酒造場などを商う地元の豪商の12代目当主。その鴻山が北斎の才能に惚れ込んで、小布施に北斎のためのアトリエを建設し、制作費のみならず逗留にかかる全ての面倒を見ました。

浮世絵で知られる北斎ですが、小布施では主に肉筆画を制作、北斎館には北斎が手がけた肉筆画では最大規模となる祭り屋台の天井画が展示されており、他にも掛け軸など一点ものの北斎の作品がたくさん収蔵されています。

小布施に来る機会があればぜひ北斎館には寄ってみたいと考えていたのでしたが、ツレがあんまりこういうのには興味がない人なので、ここでツレと別れて北斎館へは私一人で行くことにしました。

受付で常設展のみの800円のチケットを購入。北斎は様々な画風に挑戦したことで知られますが、館内はその展示数の膨大さもさることながら、一人の人物が描き分けているとはとても信じがたいほどのバリエーションに富んだ作品の数々に改めて驚かされます。

北斎最大級の肉筆画「祭屋台」天井画

そして一番大きな展示室が、目玉の祭り屋台展示ブース。山車が2台、巨大なガラスケースに並んで置かれています。画像は東町祭屋台 上町祭屋台|信州小布施 北斎館 画狂人葛飾北斎の肉筆画美術館より

東町祭屋台 上町祭屋台

屋台は「東町祭屋台」と「上町祭屋台」と呼ばれ、きらびやかな妻飾りと欄間をあしらった黒い唐破風屋根の下に、赤い欄干の囃子台が2階建てになっています。構造は双方大差はありませんが、それぞれ欄間の装飾などがよく見ると違っていて、中でも目を引く違いが山車の天上にあしらわれた北斎の肉筆画。下の画像は東町祭屋台のもので、龍と鳳凰が描かれています。

東町祭屋台「龍と鳳凰」

上町祭屋台は男浪と女浪。

男浪と女浪

男浪と女浪は、富嶽三十六景を彷彿とさせる渦を巻いた波が左右対称の図柄で描かれ、金地にきらびやかな花鳥風月があしらわれた額絵に縁取られています。対して龍と鳳凰は、鮮やかな赤地に龍の絵と暗い藍色を背景とした鳳凰が対照的に描かれており、これは中国の陰陽思想にもとづいた構図なんだそう。龍と鳳凰に対してなぜ波なのか?というのは不思議ですが、男浪と女浪にもそういう思想がテーマにあるんかもなぁと思ったり。

エネルギッシュな北斎の絵画を、一度に見て疲れ果ててしまわない程度の作品の数と展示室の広さ、北斎館はそういう点から見れば実に手頃な美術館だと思います。他所では見られない肉筆画の展示も多いので、小布施に来たらぜひとも立ち寄って頂きたい名所だと思います。

表に出ると、ツレがかなり退屈した様子で近くの土産物屋を物色していました。それでは軽く栗スイーツでも食って、竹風堂でお土産買って出発です。

小布施堂で栗アイス

小布施の名士、高井鴻山ゆかりの小布施堂で栗アイス。そういえば、小布施堂といえば毎年秋限定で「朱雀」という和風モンブランみたいなのが発売されるのですが、あまりの人気で朝5時ぐらいから並んで整理券を貰わないと手に入らないという幻のスイーツなんだそう。和風モンブランが何で朱雀なんだろうと思っていたのですが、祭屋台の鳳凰から来てるのかな、ひょっとして。

栗スイーツも食ったし、車の方に引き返すことにしましょう。建物の隙間を歩いていると、気がついたら大きなお屋敷の庭に出ました。これは鴻山が当主を務めた桝一市村酒造場の敷地内にある邸宅で、庭は一般に開放されています。知れば知るほどほんとに凄いお金持ちだったんだなぁ…

ちなみに、高井鴻山はインテリでしたが商才はあんまりなく、晩年高井家は破産してしまったそうです。しかし、今小布施にこれだけ多くの観光客が訪れているのも、鴻山が商売と無関係なリソースを芸術文化に突っ込んだ成果であり、彼が地元に残した功績は計り知れません。

桝一市村酒造場

升一市村酒造場の正面玄関。モダンな店構えにリフォームされてはいますが、店先の使い込まれた醸造桶には、この酒蔵の持つ長い歴史が刻み込まれていました。

出発前に、竹風堂で栗どら焼きの「どら焼き山」と栗落雁「方寸」を購入。栗どら焼きは想像を超越した美味しさで、牛乳と一緒に食べると洋菓子のような味わいになり、さらに後からあんこの甘さが追っかけてきます。写真は後日。

方寸は、裏ごしした栗を固めたみたいな素朴な風味で、ポリポリした食感が今までの落雁のイメージを覆す一品。これとお漬物でもあれば、永遠にお茶が飲み続けられそうです。

栗落雁「方寸」

では車に乗り込んで出発。美術館行ってアイス食ってお土産物色して、結局2時間には満たなかったので駐車料は無料でした。

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