新ブログ「べっぷ移住物語」

栃木県

関東屈指の秘境の宿「赤滝鉱泉」再び

2016/05/21

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私のペーパードライバー研修を兼ね、レンタカーで栃木県まで来た私たちは、ピラミッド元氣温泉に一泊した後、那須高原にある大丸温泉と那須湯本温泉の老松温泉喜楽旅館に立ち寄り、これから昼食をとるため那須塩原に向かっています。

那須塩原の名物といえば、誰が何と言おうとスープ入り焼きそばです。近頃流行りのご当地B級グルメの多くが「普段食べつけない変わった食べ物」であり、「一度食べれば二度目はもういいや」と感じることが多い中、塩原のスープ入り焼きそばは毎日食べても飽きないであろう、とても安定感のあるご当地グルメです。むしろ日本全国で一般化しないのが不思議なほど。

塩原スープ入り焼きそばの名店「こばや」と「釜彦」の違い

以前、スープ入り焼きそばの名店「釜彦」を訪れたことがありましたが、何年か前に別の場所に新装開店したとかで未だに新しい店の場所をよく知らないため、今回はもう一軒の「こばや」という店を目指します。

塩原スープ入り焼きそば「こばや」建物外観

お昼時のこばやの前には行列ができていましたが、麺類とご飯物が数品だけのお店なので、回転は早いです。二人連れということもあって、20分ほどでカウンターの席に通されました。

注文したスープ焼きそば。

こばやのスープ入り焼きそばは肉が豚肉

下の写真は以前行った釜彦のスープ入り焼きそば。双方の大きな違いは、写真では分かりづらいですがこばやは豚肉、釜彦は鶏肉ということが挙げられます。

こばやも釜彦も、味はソース焼きそばをガラスープで割ったようなアッサリとした味わい。このままでも充分に美味しいのですが、こばやではテーブルにお酢が備え付けられいて、これをスープにインするとまるで違ったエスニック料理のような味わいになります!確か釜彦の方にはお酢は無かったような気がするのですが、以前釜彦に行ったのが4年も前なので、記憶は定かではありません。

こばやカウンター

さらに、チャハーンは圧倒的な違いがあります。

こばやの卵チャーハン

上の写真はこばやのチャーハン、下は釜彦のチャーハンです。

こばやのチャーハンは、よくある卵がふんだんに使われた卵チャーハンなのですが、釜彦のチャーハンは一見するとウスターソースベースのソースチャーハンに見えて、全く何を使って味付けしているのか想像もできない謎の一品。素朴かつ非常に中毒性のある味で、何度か家で再現を試みたものの近いところにすら辿りつけなかったので、どなたか料理上手な方再現お願いします。

塩原のチャーハンはみんな釜彦のチャーハンみたいなのだと思い込んでいたので、普通のチャーハンが出てきたのだけが残念です…って全くこばやのチャーハンは残念って味ではないです。とてもとても美味しかったのですが、チャーハン食べに新しい釜彦にも行きたいなぁと思ったのでした。

ではでは、これから東京に帰ります。

関東最高かもしれない秘湯の宿「赤滝鉱泉」

東北道に向かっている途中、以前に赤滝鉱泉という温泉旅館に以前泊まったことをふと思い出しました。

赤滝鉱泉は、東北道矢板インターチェンジから車で40分ほどの場所にある一軒宿の温泉地なのですが、こんな便利な場所にありながら、私が今まで行ったことのある温泉地の中でも1~2を争う秘湯。何しろ、オフロード車でしか通行できない急斜面のダートを下った谷底にあるのです。

以前の記事はこちら東北道から約40分・穴場の秘境の宿へはオフロード車で〜栃木県矢板市 赤滝鉱泉〜 | なんちゃら街道

以前訪れたのは震災の前だったので、宿の建物もかなり古いこともあり、今もまだ営業を続けておられるのだろうかと、立ち寄りで訪れることにしました。

矢板の市街地から、塩原方面へ向かう県道56号線を山頂に向かい進んでいくと、車道の脇の林の隙間に、「小滝鉱泉」と書かれた大きな看板が立っていました。

小滝鉱泉から赤滝鉱泉への道

赤滝鉱泉は、この小滝鉱泉へ向かう道の途中から分岐する林道の先にあります。写真は以前のもの。小滝鉱泉も赤滝鉱泉と同じくダートの坂道を下った谷底にある一軒宿の温泉地で、秘湯度でいえばこちらも赤滝鉱泉と良い勝負なのですが、短くて急な赤滝鉱泉へのルートに比べ、小滝鉱泉は緩いダートがダラダラ続きます。そのため、小滝鉱泉へは普通の車でも直接エントリーすることが可能で、また建物も新しく、秘湯の宿ですがおそらく一般的な旅館と同等のサービスを受けることができます。

小滝鉱泉建物外観

オフロード車以外は林道の途中からは徒歩

赤滝鉱泉へは途中まではオンロードタイヤの普通の車でも行けますが、宿の100メートルほど手前に駐車スペースが設けられており、オフロード車以外の車や運転に自信がない人はここに車を停めて、歩いて宿まで向かいます。

オフロード車以外は途中から徒歩で赤滝鉱泉へ

天気さえよければ、オフロード車以外の車でも宿まで直接行けるかもしれませんが、セダンやハイエースのような車体の長い車両は、おそらくコーナーを曲がりきれないと思います。今回はペーパードライバー研修なので、車はダートの途中に停めて徒歩で宿まで向かうことにしました。

駐車スペースからは建物の影も形も見えないので、どれだけ歩かされるかと少し不安になりますが、実際歩いてみると10分ほど。

赤滝鉱泉の屋根

谷に向って進むと、眼下の木立の隙間から前にも見た小豆色のブリキ屋根が見えてきます。

谷を下りきると、赤滝鉱泉の木造の建物が震度7の地震に見舞われたとは思えない古びた佇まいのまま、前と変わらずそこに建っていました。日本の古い建築物は地震に対しては恐るべき強度を持っているんだなぁと、改めて驚かされます。一見地震に弱そうな急斜面の谷底という立地も、ここが安全な場所だと代々続く経験の蓄積から分かっているのでしょう。

赤滝鉱泉外観

林道の方から来ると一番手前に、宿の人の居間のような建物があります。居間の扉は開けっ放しになっていて、中を覗くと以前来た時にもお世話になったおばあさんがテレビを点けっぱなしで昼寝をしていました。

私達が声をかけると、「あ~はいはい」と言いながら起き上がったおばあさんに日帰り入浴の客であることを伝えると、奥にある浴室に案内して下さいました。

鍵型に曲がった建物の前には家庭菜園のような小さな畑があり、農作物の間に洗濯物が干されていました。建物の裏には渓流が流れています。

家庭菜園の片隅には、お風呂を焚くための薪がうず高く積まれた小屋、というか屋根を乗っけた薪の山があります。赤滝鉱泉という名前からも察しは付きますがここの源泉は低温のため、薪を使って加温して提供されています。

鍵型の建物の中ほどに宿の正面玄関があり、玄関の軒先には赤滝鉱泉の由緒書きが記された木製の額が掲げられていました。

赤滝鉱泉の由来書

正面玄関の大きな引き戸を開けると、常連さんの靴が置きっぱなしになっているのか、持ち主不明の忘れ物を処分しあぐねているのか、大きな下駄箱に大量に靴が並んでいます。

玄関の真ん前には、黒塗りの梯子のような階段。その奥には自炊客の為の台所があります。

建物同様個性的な赤滝鉱泉の泉質

お風呂は普通の家庭用の大きさの物が一つだけ。隣にももう一つ浴室があるようですが、現在は片方だけが貸切風呂として使われています。

前回来た時は、沸かしたばかりのお湯がぬる好きの私にはちょっと熱すぎたのですが、今回は溜めてあったお湯だったので少し冷めており適温でした。

お湯の見た目は、都内の黒湯に似た茶色っぽいお湯ですが、泉質は単純酸性・鉄冷鉱泉。ph3.0と酸性が強いパンチのあるお湯です。前に来た時はまだ温泉の経験値が低かったため、建物の古さや立地の強烈さ以外の印象がほとんど無かったのですが、改めて入ってみると北関東の中でもかなり個性的な泉質だと思います。

お風呂上がり、500円という破格の入浴料にもかかわらず、おばあさんにスポーツドリンクをご馳走になりました。縁側でおばあさんと談笑していると、前回来た時にもおられた娘さんが帰って来られ、「あの足立ナンバーの軽自動車?」と、びっくりした顔で私たちに尋ねました。そんなに珍しいかな?

動物好きな赤滝鉱泉

どこからかネコが一匹やって来ました。そうそう、前来た時もネコちゃんが何匹かいた記憶があります。

ネコはおもむろに柱でバリバリ爪を研ぎ始めました。「これっ!」っと優しく叱るおばあさん。この子はきっと、おばあさんに構って欲しくてわざとやってるんでしょうね。前回来た時にいたネコはみんな人見知りで、全く客の前に出て来なかったような記憶があるのですが、この子は前にいたのとは違うネコなのかな?

そういえば、赤滝鉱泉に来た目的は温泉の他にももう一つありました。それは宿で飼われていたワンちゃん。前回来た時仲良くなった「トラ」という雄犬がいたはずなのですが、全く鳴き声も姿も見えないのはもしかして…

「あの…ワンちゃんは」とおばあさんに尋ねると、「元気ですよ」とのこと。

トラちゃんは建物の裏庭にいるそうです。おばあさんから餌としてお煎餅を一枚手渡され、洗濯物をかき分け裏庭に回ると…

6年前に来た時ははつらつとした若者だったトラちゃんは、今やデップリとした中年体型のオヤジ犬になっていました。

トラちゃんは涼をとるために畑に自分で穴を掘って、その中にだらしなく横座りして、立ち上がるのもかったるそうな様子でこちらを見ています。私達が近寄ろうとすると…

ううう~~~(怒)

えぇ!あんなに仲良く遊んだのに…って、そりゃ忘れるよな。6年も前だし。

山中の一軒家で飼われているトラちゃんは、若かりし頃は相当遊び仲間に飢えていたのか、ちょっと遊んで上げると大喜びで狂ったように走り回り、さらにもっと遊んで欲しかったのか、玄関先に脱いであった私の靴をどこかに隠してしまい、宿の人と大探ししたのはいい思い出です。

あの時あんなに懐いてくれてたのに、う~なんて酷いわトラちゃん。

そうだ、おばあさんから餌用のお煎餅貰ってたんだった。お煎餅を見せながら近づくと「それがあるんなら話は別やで」とでも言うように態度が一変。

あぁなるほど、このためのお煎餅だったのか。RPGのアイテムみたいだな。

「はよよこせやコラ」な勢いでがっついてくるトラちゃん。トラちゃんの前にしゃがんで、食べやすいようにお煎餅を小さく割って顔の前に差し出すと、そこはビーグル犬だけあって頭が切れるため、反対側の手に持っているピースの方が大きいことがバレて、「めんどくさいことすんなや!」と言わんばかりに、引っ込めていた大きい方をパクッと一口で食べられてしまいました。

トラちゃんお煎餅バリバリ

お前、何かやさぐれたね…

お煎餅の貢物ですっかり警戒心の無くなったトラちゃん、今度は首を優しくマッサージしてあげると、うっとりと夢見心地な表情。

うっとりトラちゃん

犬を飼った経験のある人はご存知かと思いますが、犬は常に下から人様を見上げているせいか、大概の飼い犬は首や肩がゴリゴリなので、首筋や肩甲骨のあたりを揉んで上げるととっても喜びます。

前に来た時も、こうやって首をモミモミしてあげたんだよ。思い出したかい?

とろ~んとした目でこちらを見つめるトラちゃんの表情を見ていると、あの時のことを思い出してくれたような気もしますが、真相は不明。

様子を見にやってきたおばあさんが、「トラも一緒に東京に連れてってもらうか?面白い物いっぱいあるよ」と、トラちゃんに笑いながら話しかけていました。

トラちゃん元気でね

じゃあね、トラちゃん元気でね。立ち去ろうとする私達を、座ったまま無表情で見送るトラちゃん。

犬を飼っていた経験上、人間に置いていかれると悟った瞬間の犬の表情を見るのが辛くて、前に来た時は帰りにトラちゃんには顔を見せないで帰ってしまったのですが、こんなに喜怒哀楽の怒と食欲以外の感情のないヤツでは無かったんだけどなぁ。単に歳食って偏屈になっただけなのかな?

まぁでも、もし自分がトラちゃんなら、山の中で一人きり他の犬の友達やメス犬とのロマンスも無く、たまに仲良くなったお客さんもこうして自分を置いてすぐいなくなってしまう生活を何年も続けていると、傷つきたくなくて愛情や愛着の感情は心の中に封印してしまうかもしれません。

おばあさんにお礼を言って、赤滝鉱泉を後にしようとすると、「スポーツドリンクは甘ったるいから、お水飲むなら洗濯機の給水口から水汲んで」と言われ、生まれて初めて洗濯機の注ぎ口から水を汲んで飲みました。

洗濯機の給水口から水を飲む

おばあさんも、前に来た時に比べ歩くのがかなり辛そうに見えます。当然、私も同じだけ歳はとってるんですが、今まで意識してこなかった6年の歳月が、急に目の前に実体として現れたようで、懐かしいような切ないような気持ちで赤滝鉱泉を後にしました。

・・・終わり

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